メニュー説明が終わる。
シャワーを浴びてプールサイドへ。
Up開始1分前の声。
泳ぎたいような泳ぎたくないような...
やっぱ今日のメニューきつそうだし僕はもう帰ります!お疲れ様でした!
そんな心は陸に置き去りに、身体だけが水に吸い込まれていく。
練習の度に繰り返すそんな瞬間が、案外嫌いじゃなかった。
メニューに加われなくなったのは、1月のこと。
椎間板ヘルニアだった。
足首、肩、肘、ハムストリング、難聴、貧血...(2017年度部誌参照)
これまで色々やってきたけれど、
精神的にも肉体的にもここまで追い込まれたのは初めてだった。
主将なのに陸で見守ることしかできない。
引っ張っていかなきゃいけないのに練習で追い込めない。
レースの後は1週間痛みに耐える日々。
もう水泳やめよっかな。こんなつらい思いしてまでやってて意味あんのかな。
何度も頭に浮かんだ言葉を、その都度掻き消してくれる人達がいたから、踏み止まることができた。
きつい練習に食らいつく姿。応援しあう姿。best。初めての賞状。初めての入賞。
全てが自分のことのように、いや、それ以上に嬉しかった。
素直に言葉に出来ない性格だから、目標結果シート見ながらニヤニヤするだけにしておいた。
主将として迎える最初で最後の東医体。
成長した部員の姿を見る楽しみ。
そして、自分のレースへの恐怖。
泳げないなかで、出来ることはやってきたはず。
それでも、すごくすごく怖い。
自分がよく見るアメリカのアクション映画は、だいたいお決まりの1パターンしかない。
まず、主人公は敵にボコボコにされ、家を爆破されたり家族を奪われたりする。
それでも何だかんだ復活して、無謀にも単身敵の組織に乗り込む。
途中大ピンチに陥るも、ラスボスを倒して大逆転のハッピーエンド。
突っ込みどころが多いのは分かってるけど、それでも、ドン底にあっても、どれだけ無謀でも、清々しい程自信に満ちている主人公達が格好いい。
自信持って挑戦したら、そんな展開が自分にも待ってたりしないかな。
現実はそんなに甘くないって?
やってみなきゃわかんないっしょ!
こんな独り言みたいな長文を最後まで読んでくれた暇人…もとい我慢強く心優しい人にはきっといい事があるでしょう。
それでは、明日、最高の舞台で会いましょう。